塩飴の倉庫 彼と彼女の話7 忍者ブログ
小説、イラスト置き場
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6月。なんだかんだで仕事ばかりしてる

毎週毎週、土産のずんだ餅を渡しているうちに、「ミドリちゃんとこ行くならコレ持って行って。」という届け物の依頼が増えた。
逆に支店からの物も翠経由で持って行く。
その代り、週末の飲み会の参加は一切しなくなったが元々ほとんど行かなかったから問題ない。
週末の飲み会どころか、土日も会社で仕事してたからな・・今まで付き合ってたカノジョには「私と仕事どっちが大事なの!?」とよく言われていたものだ。
自分から好きだからつき合ってと言ってきたくせに、仕事ばかりしてる俺が気に入らないとキレられて別れるのが常だった。
毎日毎日、朝から晩まで仕事仕事。
仕事してるか寝てるかしかしてない俺に変化が訪れたのが、仕事帰りに立ち寄ったコンビニ。
コンビニで働く翠を見て、初めての一目惚れ。
コンビニに通いつめたはいいが、どうしていいのか分からないと友人に相談したら「うだうだ言うな。男なら潔く告白しろ。」と友人達に背中を押されたのは、今となってはいい思い出だ。
OKを貰えて舞い上がったのはいいが、どのように接していいか分からず、週末に翠の部屋に遊びに行くというワンパターンな行動しか出来なかったのは反省した。
翠の顔見てるだけで幸せという、脳内に花が咲いてる状態で、更には翠の心を知りたいと欲を掻いて、あの女に相談したのはもっと反省したが。

庶務室の前を通りすがるとあの女が「小林さぁん、また飲み会行かないって本当ですかぁ?つまんなぃ~。次は絶対、来て下さいよねぇ?・・・・あ。コレ。総務の佐藤さんに渡してください。」と書類とUABメモリを入れた封筒を渡してきた。
「・・・分かりました。必ず渡します。」そう言って立ち去ると、背後から「絶対、約束ですからねぇ!」という声が追いかけてきたが聞こえないフリをした。


明け方の夜行バスの中で、渡された書類を確認しているとなんとない違和感を覚えた。
なにが気になるのか分からず、再度読み返すが内容に不備はない。
なんだろう。しかし、なにかが気になると思いつつ、書類を何回か捲るうちに鼻につく匂いに気が付いた。
・・・コーヒーの匂いがする。
書類にこぼしたのだろうかと思い、再度書類を確認するが染みは見つからず、封筒か?と思い、封筒を確認すると中に入っていたUSBメモリから匂いがすることに気が付いた。
外見にコーヒーの染みや汚れはない・・・まさかな、と思いながら手のひらにUSBメモリを振る。
手のひらについた茶色い水滴。
・・・・あの女。


翠のアパートについて、台所でUSBをすすいでいるとそれを見た翠が驚いて「だ、大丈夫ですか!?え、ソレって洗っちゃいけないものじゃないんです!?」と尋ねてきた。
「間違えてコーヒーこぼした。水で洗って乾かせば大丈夫だ。注意点は中に水分ついた状態でPCにささないことだな。通電させてしまうとデータが飛ぶ。」
へぇぇ、と感心している翠から密封できるポリ袋を貰う。
土産に買ってきたぴよこの箱を開けてシリカゲル乾燥剤を取り出し、しっかりと水をきったUSBメモリと共に袋に入れておく。
「私の携帯もすぐ電源落とせば大丈夫だったのかなぁ・・。」と肩を落とす翠。
「・・・いや、チカチカしてたっていうし・・たぶんダメだったんじゃないかな。それにUSBメモリは構造が簡単だから壊れにくいってだけで、それでもデータ飛ぶ時は飛ぶよ。」と慰める。
慰めついでに、眼帯の伊達男を見に行こうと誘う。
「準備するね!」とお弁当を作り始めた翠を眺めつつ、上司に月曜日の有休願いと、同僚にUSBメモリに入ってたハズの書類のデータを送ってもらうようメールを送る。
有給休暇も上限いっぱいまであって、それどころか代休まで残ってる状態だから、きっと上司もダメとは言うまい。


翠と一緒にやたらとレトロなバスに乗る。
「乗りたかったんですよね。このバス!可愛いですよね。」と笑う翠が可愛い。
騎馬に乗った伊達男を背に翠と2人で写真を撮り、水鳥を眺めながらベンチに座っておにぎりを頬張る。
幸せってこんなことを言うんだなぁ。
すっかり若葉になってしまった桜を見ながら、来年こそは翠と桜を見ようと思う。


アパートに帰って、お茶を飲みながらメールチェックしていると、上司と同僚からの承諾のメールを確認した。
「翠、月曜まで休みになった。けど、ちょっと用事もあるから月曜は一緒に支店行こうな。」と言うと、翠が「ほぇ?分かった。」と承諾した。
ちなみに泊りは翠のアパートだ。
最初のうちはホテルを予約していたが、翠に「勿体ない!」と言われてアパートに泊めてもらっている。
翠の顔を眺めながら寝るのは・・・なかなかの忍耐を必要とするが、それ以上に幸せを実感する。
翠と一緒にゲームするのも楽しい。
コミカルな動きをするキャラクターに「可愛いよね、この技大好きなんだよー。」と嬉しそうにする翠を見てるのが楽しい。
・・・折りをみて、俺の親に紹介しに連れて行かないといけないなぁ。


週明け、支店に翠と一緒に出社する。
同僚からのメールに添付していたデータをそのまま翠に転送する。
「翠。庶務から貰ったデータ、コレだから。これに入力してメールで送信してくれ。」とPCを返すと、支店長から「お~、小林君。ちょうどいい所に、一緒に取引先廻ろう。」と声をかけられる。
「営業部長に連絡取っておくから、あ、小林君の新幹線の予約お願いね。」と、翠に新幹線の指示を出した支店長と共に営業車で行くことになった。
このまま支店勤務になれないものかなぁ。

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上司「あいつが仙台行くようになってから営業範囲が広がったもんだ。・・・なぁ、お前、関西方面にカノジョ作らないか?」
同僚「・・・・・・え!?」
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日々、仕事と家事に追われながら趣味を増やそうと画策するネコ好き。

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