塩飴の倉庫 彼と彼女の話11 忍者ブログ
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9月。ヤスを探せ

「やだっ、小林君ったらミドリちゃんを監視!?」
通りすがりに俺の画面を見た同僚がおどけて言う。
「気持ち悪いこと言うな。・・・翠が掲示板に晒されているんだ。」
一瞬にしていつもへらへらしてる同僚の顔から表情が抜け落ちる。
「本人が書きこんでるってことはないよね。」
「無いな。携帯はキッズモードだし、タブレットに関しては俺がたまに見てる。」
「そか・・・分かった。」そう言って同僚は翠を検索していく。
無言で検索をかけていくと、しばらくして同僚が「HITした・・・出会い系だね。」
さすが定期的に自身を検索しているだけあって早い。
以前、元カノにネットで中傷を受けた同僚はあれから過剰に警戒するようになった。
翠にいろいろと注意したのは同僚を見て学んでいたからである。

「・・・これ、庶務の前田さんじゃない?」
掲載されている画像を拡大する。
「うまく顔隠してあるけど、この時計、前にカレシに買ってもらったって食堂で自慢してたやつだよね。」
ラインストーンでゴテゴテに飾られたスマフォを持つ腕に特徴的なロゴの時計。
・・・・あの女。


「見て見て!こないだのデートで〇〇〇の新作の時計買って貰っちゃったぁ!」
「えーーっ。すっごーい。いいなぁ。見せて、見せてー。」

少し離れた席から聞こえてくる声に上司が苦笑いしながら「あの時計、30万するんだよねぇ。」と言う。
「うはっ、高っ、なんで値段知ってるんですか!?」
「嫁にね、結婚記念日にコレ欲しいってねだられちゃって。おかげでお財布が軽いよ~。」
「う~わぁ・・・ご愁傷様です。」
「でも嫁さん喜んでたからねぇ。しかし、今のご時世はデートのプレゼントレベルなんだねぇ。頑張ってね、独身の諸君!」
「いやいやいや、そんな高額なプレゼントほいほいあげれないっスよ。」
そんな上司と同僚の会話を聞きながら飯を食っていたのを思い出した。


「・・・ミドリちゃんの顔写真出てる。これって社員証のかな。名前と最寄駅も晒されてる・・・悪質だね。」
「証拠ssは撮れるか?」
「撮ってる。プロバイダに発信者情報開示請求と削除申請出した方がいいね。時間帯が勤務時間のもあるから会社PCのログも取ったほうがいいよ。」


「すまんな。イヤなこと思い出させて。」
休憩室で同僚に缶コーヒーを渡す。
同僚は誹謗中傷の他にゲイサイトにまで書きこみされていた。
『恋人募集!』という書き込みに反応したゲイに路地裏に連れ込まれそうになって、某カンフースターのマネをして難を逃れた。
「フー様の完コピしてなかったら、僕のケツ死んでたかもしれん。」と蒼白な顔で報告してきたのが一昨年前の夏。
今では忘年会などで黄色いトラックスーツを着てアチョー!などと言いながら笑いを取れるまで回復したと思っていたのだが。
「いやいや、大丈夫だよ~。それに小林君のことカレシって言って逃げてたことあるし。恩は返せる時に返さないとね。」
「!?」


***************************************************


同僚「ミドリちゃん、キッズケータイなんだ。」
総一郎「通話とメールしか使わないからいいらしい。デザインが可愛い上にライト付。防犯ブザーで安全。落としてもイマドコサーチで安心。なにより防水なのだと力説していた。」
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日々、仕事と家事に追われながら趣味を増やそうと画策するネコ好き。

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