10月。ゴミはゴミの日に
「ダークネスファング!悪ノ組織来マシタ!成敗シタライイデスカ!?」
「落ち着けっ!翠は無事なのか!?」
19時30分。シャインスターからの電話に衝撃を受けつつ、状況を聞き出していく。
シャインスター曰く、翠につきまとう悪ノ組織は日に日に数を増し、ついにはアパート近辺まで姿を見せ始めたらしい。
前に行った時に表札は取り払ってきたので部屋の特定はまだのようだが、隣であるシャインスターの部屋に悪ノ組織らしき人物が訪ねてきたとの事。
・・・シャインスターの部屋はカーテンもインテリアもピンク色。いかにも女性の部屋に見えるから間違えたのだろう。
すぐさま翠に電話をして無事を確かめる。
「大丈夫・・・ですよ?でもちょっと気味悪いです。」
「なにかあったらすぐ俺に電話しろ。家に帰る時もだ。
誰か訪ねてきても無視しろ。宅配便だとしてもだ。本物なら不在通知入れておくハズだから、後で呼んで受け取ればいい。どうしてもドアを開ける時はドアチェーンしろ。」
その他にも、いろいろと注意してくれと言って電話を切った。
あぁ・・・くそ、すぐ行ける距離にいないことが悔しい。
「小林君どうしたの。めっちゃ顔怖いんですけど。」
「翠のアパートまで悪の組織が来ているらしい。」
「悪の組織?」
いかん。動揺している。
同僚に状況をかいつまんで説明する。
「プロバイダはIPの開示と書き込みの削除に応じた?」
「いや、弁護士を通しているがのらりくらりとのばされてる。」
話しをしながらもカタカタとキーボードを叩く同僚。
「他のサイトにも書き込んでるね。・・・ひどいな。小林君はこれ、名誉毀損で止めるの?たぶん強姦教唆までいけると思うよ。女の子だし。」
「・・・あぁ、お前の場合、男だから適用されないってツッパネられたんだっけか。」
「ひどいよねー。男でも女でも被害に会ったら傷つくのに。はい、コレ。SSとログ。頑張って!僕の分もやっちまいなー!」
「すまん、助かる。
しかし、お前の分って・・お前、相手の男ボコボコにしたじゃないか。過剰防衛手前だったって俺は聞いたぞ。」
「いいじゃん?どうせキモい顔だったし、鼻が右向いていようが、左向いていようが大差ないよ。」
受け取ったUSBメモリを手に弁護士に連絡すべく席を立つ。
それから相談してた上司に声をかけ、午後に本人召喚の上、勧告をすることに決める。
庶務室に行き、あの女に15時にミーティングルームに来るよう告げると、あの女は「きゃっ、なんですぅ?デートのお誘いなら会社よりレストランの方が嬉しいんですけどぉ。」と、まつげをパチパチと鳴らしながら言いやがった。
自分がやってることがバレてるなんて思いもしないのだろうか。
バカすぎる。
15時。
弁護士、上司とともにミーティングルームで待っていると、10分も遅れてあの女が部屋に入ってきた。
「ごめんなさぁい、髪の毛がきまらなくってぇ」などと言いながら入った女は、俺以外にも人がいることに気がついてギョッとしていた。
甘ったるい香水の臭いが漂ってきて、更に気分が悪くなる。
「前田明美さんですね?初めまして。弁護士の渡邉と申します。佐藤翠さんに対する名誉毀損と強姦教唆の件で話し合いにまいりました。どうぞ、席にご着席を。」
弁護士が着席を促す。
そこからの会話は思い出すだけで頭痛がするほどひどいものになった。
あの女はそんなの知らない、自分ではない、証拠がないなど言っていたが、翠の名を騙って男を煽る写真とプリントアウトされた掲示板の文章、会社PCのログを前に頭を垂れた。
ぐずっ、ぐずっ、と鼻を鳴らしながら泣いて謝罪していたが、会社を自主退職すること、翠に近づかないことを告げると髪を振り乱して「なんでそこまでしなく ちゃいけないの!?ごめんって謝ってるじゃない!どうせあのミドリムシだって、ウリくらいやってんでしょ!?親が死んでるんだからっ。」と、暴言を吐い た。
カッとなって思わず立ち上がろうとするのを、隣の上司に腕を捕まれて止められる。
弁護士の「警察に行くことだって出来るのですよ?慰謝料も請求しない、大した温情だと思っていたのですが、これではそれも出来そうにありませんね。」と冷静な言葉に、あの女は顔を蒼白にした。
・・・疲れた。
あぁ、翠に会いたいなぁ。
「落ち着けっ!翠は無事なのか!?」
19時30分。シャインスターからの電話に衝撃を受けつつ、状況を聞き出していく。
シャインスター曰く、翠につきまとう悪ノ組織は日に日に数を増し、ついにはアパート近辺まで姿を見せ始めたらしい。
前に行った時に表札は取り払ってきたので部屋の特定はまだのようだが、隣であるシャインスターの部屋に悪ノ組織らしき人物が訪ねてきたとの事。
・・・シャインスターの部屋はカーテンもインテリアもピンク色。いかにも女性の部屋に見えるから間違えたのだろう。
すぐさま翠に電話をして無事を確かめる。
「大丈夫・・・ですよ?でもちょっと気味悪いです。」
「なにかあったらすぐ俺に電話しろ。家に帰る時もだ。
誰か訪ねてきても無視しろ。宅配便だとしてもだ。本物なら不在通知入れておくハズだから、後で呼んで受け取ればいい。どうしてもドアを開ける時はドアチェーンしろ。」
その他にも、いろいろと注意してくれと言って電話を切った。
あぁ・・・くそ、すぐ行ける距離にいないことが悔しい。
「小林君どうしたの。めっちゃ顔怖いんですけど。」
「翠のアパートまで悪の組織が来ているらしい。」
「悪の組織?」
いかん。動揺している。
同僚に状況をかいつまんで説明する。
「プロバイダはIPの開示と書き込みの削除に応じた?」
「いや、弁護士を通しているがのらりくらりとのばされてる。」
話しをしながらもカタカタとキーボードを叩く同僚。
「他のサイトにも書き込んでるね。・・・ひどいな。小林君はこれ、名誉毀損で止めるの?たぶん強姦教唆までいけると思うよ。女の子だし。」
「・・・あぁ、お前の場合、男だから適用されないってツッパネられたんだっけか。」
「ひどいよねー。男でも女でも被害に会ったら傷つくのに。はい、コレ。SSとログ。頑張って!僕の分もやっちまいなー!」
「すまん、助かる。
しかし、お前の分って・・お前、相手の男ボコボコにしたじゃないか。過剰防衛手前だったって俺は聞いたぞ。」
「いいじゃん?どうせキモい顔だったし、鼻が右向いていようが、左向いていようが大差ないよ。」
受け取ったUSBメモリを手に弁護士に連絡すべく席を立つ。
それから相談してた上司に声をかけ、午後に本人召喚の上、勧告をすることに決める。
庶務室に行き、あの女に15時にミーティングルームに来るよう告げると、あの女は「きゃっ、なんですぅ?デートのお誘いなら会社よりレストランの方が嬉しいんですけどぉ。」と、まつげをパチパチと鳴らしながら言いやがった。
自分がやってることがバレてるなんて思いもしないのだろうか。
バカすぎる。
15時。
弁護士、上司とともにミーティングルームで待っていると、10分も遅れてあの女が部屋に入ってきた。
「ごめんなさぁい、髪の毛がきまらなくってぇ」などと言いながら入った女は、俺以外にも人がいることに気がついてギョッとしていた。
甘ったるい香水の臭いが漂ってきて、更に気分が悪くなる。
「前田明美さんですね?初めまして。弁護士の渡邉と申します。佐藤翠さんに対する名誉毀損と強姦教唆の件で話し合いにまいりました。どうぞ、席にご着席を。」
弁護士が着席を促す。
そこからの会話は思い出すだけで頭痛がするほどひどいものになった。
あの女はそんなの知らない、自分ではない、証拠がないなど言っていたが、翠の名を騙って男を煽る写真とプリントアウトされた掲示板の文章、会社PCのログを前に頭を垂れた。
ぐずっ、ぐずっ、と鼻を鳴らしながら泣いて謝罪していたが、会社を自主退職すること、翠に近づかないことを告げると髪を振り乱して「なんでそこまでしなく ちゃいけないの!?ごめんって謝ってるじゃない!どうせあのミドリムシだって、ウリくらいやってんでしょ!?親が死んでるんだからっ。」と、暴言を吐い た。
カッとなって思わず立ち上がろうとするのを、隣の上司に腕を捕まれて止められる。
弁護士の「警察に行くことだって出来るのですよ?慰謝料も請求しない、大した温情だと思っていたのですが、これではそれも出来そうにありませんね。」と冷静な言葉に、あの女は顔を蒼白にした。
・・・疲れた。
あぁ、翠に会いたいなぁ。
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同僚「過剰防衛手前っていっても、鼻と足折って、頬骨陥没させた程度だよ。」
総一郎「それ、十分過剰防衛じゃないか?」
同僚「きっと元の顔が酷すぎてケガにカウントされなかったんだよ。」
総一郎「それ、十分過剰防衛じゃないか?」
同僚「きっと元の顔が酷すぎてケガにカウントされなかったんだよ。」
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プロフィール
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塩飴
性別:
非公開
自己紹介:
日々、仕事と家事に追われながら趣味を増やそうと画策するネコ好き。
小説とイラストを置いております。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載はしないでください。
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