5月だけど炬燵は片付けない
アパートに着いて炬燵に入って暖をとる。
コーヒーを渡しながら、タブレットを見せて質問する。
「このメールを送ってきた人たちって会社の人?お友達になった方がいいのかな?」
メールにどんどん来るのだけど、見覚えのない名前だし、メールの内容も意味不明でどう返事していいのか分からなくて困っていたのだ。
「誰だ?」
眉をしかめて総一郎さんがタブレットの画面を確認する。
「・・・これは・・なりすましメールだな。」
なりすまし?と聞き返すと、「あぁ、出会い系サイトとかに誘導して金とろうとするメールだ。」と、総一郎さんはそれらのメールをポチポチ削除していく。
「キリがないな。翠、捨ててもいいフリーメール持ってないか?」
・・・名前呼び、な、慣れないな。
「えっと、携帯と、ソレと、会社のだけよ?」
「わかった。適当に作る。」そう言って鞄の中から小さなキーボードを取り出してポチポチ打ち出した。
大きな手にすっぽり埋まるようなキーボードをちまちま打ってる姿が、ちょっと可愛いと思う。
「あと、グチッターとブログやらないかって、会社のコに誘われてるんだけど楽しいのかな。」
「グチッターは勧めないかな。以前、同僚が飲み屋で写真つきでグチったら、元カノが飲み屋を特定してな。飲み屋の前でケンカを始められて困った。他の女性 の同僚もストーカーにつきまとわれて警察沙汰になったし。ブログは日記代わりにやってもいいが、パスワード制か、検索避けは入れてくれ。入れておかないと 写真なりデータなりが簡単にネットに流れるから、一度流れると回収できない。」
「なにそれ・・怖いね。でも、誰も私のことなんてわざわざ探さないだろうし、大丈夫でしょ。」
画面から顔をあげた総一郎さんは真剣な顔をして「なにを言う。俺は翠は可愛いと思うし、ストーカーがつきそうで怖い。それに、なにかあったらすぐに救けに来れる距離じゃないから用心に用心を重ねるべきだ。」と言う。
え~・・・。
怪訝そうな顔をしたのが分かったのだろう、総一郎さんが続けて「顔写真、名前、年齢、職業、住所、行動、友人、家族、その他諸々ネットには載せないように。」と約束させられた。
絶対だ、と指切りまでされた。
「あとこれ、翠の誕生日だろう?パスワード。それも替えておけ?すぐバレるぞ。あと自撮のアイコンもNGだ。」と、コーヒーの入ったマグカップをパシャリと撮る。
・・・えぇぇ?なんだかもぅ、面倒くさいなぁ。
返されたタブレットを手に禁止事項を確認してると、「翠、これとかどうだ?一緒に冒険できる。」とゲームを紹介してくれた。
キャラクターが可愛いのと操作が簡単なので承諾すると、一緒にアバターを決める。
髪の毛は白、目は紫が可愛いかな。なんとなくウサギっぽくて。
名前はどうしよう。
本棚を見渡してお気に入りの小説を眺める。
そうだなぁ、シエラにしよう。
総一郎さんは茶色い犬っぽい感じのアバターにしてた。
「ウチで昔飼ってた犬に似せてみた。」と、ニコリと笑う。
ふへへ。ゲームかぁ。楽しみだなぁ。
コーヒーを渡しながら、タブレットを見せて質問する。
「このメールを送ってきた人たちって会社の人?お友達になった方がいいのかな?」
メールにどんどん来るのだけど、見覚えのない名前だし、メールの内容も意味不明でどう返事していいのか分からなくて困っていたのだ。
「誰だ?」
眉をしかめて総一郎さんがタブレットの画面を確認する。
「・・・これは・・なりすましメールだな。」
なりすまし?と聞き返すと、「あぁ、出会い系サイトとかに誘導して金とろうとするメールだ。」と、総一郎さんはそれらのメールをポチポチ削除していく。
「キリがないな。翠、捨ててもいいフリーメール持ってないか?」
・・・名前呼び、な、慣れないな。
「えっと、携帯と、ソレと、会社のだけよ?」
「わかった。適当に作る。」そう言って鞄の中から小さなキーボードを取り出してポチポチ打ち出した。
大きな手にすっぽり埋まるようなキーボードをちまちま打ってる姿が、ちょっと可愛いと思う。
「あと、グチッターとブログやらないかって、会社のコに誘われてるんだけど楽しいのかな。」
「グチッターは勧めないかな。以前、同僚が飲み屋で写真つきでグチったら、元カノが飲み屋を特定してな。飲み屋の前でケンカを始められて困った。他の女性 の同僚もストーカーにつきまとわれて警察沙汰になったし。ブログは日記代わりにやってもいいが、パスワード制か、検索避けは入れてくれ。入れておかないと 写真なりデータなりが簡単にネットに流れるから、一度流れると回収できない。」
「なにそれ・・怖いね。でも、誰も私のことなんてわざわざ探さないだろうし、大丈夫でしょ。」
画面から顔をあげた総一郎さんは真剣な顔をして「なにを言う。俺は翠は可愛いと思うし、ストーカーがつきそうで怖い。それに、なにかあったらすぐに救けに来れる距離じゃないから用心に用心を重ねるべきだ。」と言う。
え~・・・。
怪訝そうな顔をしたのが分かったのだろう、総一郎さんが続けて「顔写真、名前、年齢、職業、住所、行動、友人、家族、その他諸々ネットには載せないように。」と約束させられた。
絶対だ、と指切りまでされた。
「あとこれ、翠の誕生日だろう?パスワード。それも替えておけ?すぐバレるぞ。あと自撮のアイコンもNGだ。」と、コーヒーの入ったマグカップをパシャリと撮る。
・・・えぇぇ?なんだかもぅ、面倒くさいなぁ。
返されたタブレットを手に禁止事項を確認してると、「翠、これとかどうだ?一緒に冒険できる。」とゲームを紹介してくれた。
キャラクターが可愛いのと操作が簡単なので承諾すると、一緒にアバターを決める。
髪の毛は白、目は紫が可愛いかな。なんとなくウサギっぽくて。
名前はどうしよう。
本棚を見渡してお気に入りの小説を眺める。
そうだなぁ、シエラにしよう。
総一郎さんは茶色い犬っぽい感じのアバターにしてた。
「ウチで昔飼ってた犬に似せてみた。」と、ニコリと笑う。
ふへへ。ゲームかぁ。楽しみだなぁ。
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総一郎「ほれ、土産のずんだ餅。」
同僚「なに?ミドリちゃんとこ行ってきたの!?新幹線で?」
総一郎「あぁ、来週もそうするって言ったら翠がすごい怒ってな。今、安い夜行バス探してるとこ。」
同僚「うはぁ・・よぅやるわ。ところでミドリちゃんのRAIN、僕拒否られてんだけど。」
総一郎「当たり前だ。ブロックしてきたからな。」
同僚「心せまっ、せまいよっ、小林君。」
総一郎「ついでにあの女のもブロックしてきた。いつの間にか入ってたからな。」
同僚「なに?ミドリちゃんとこ行ってきたの!?新幹線で?」
総一郎「あぁ、来週もそうするって言ったら翠がすごい怒ってな。今、安い夜行バス探してるとこ。」
同僚「うはぁ・・よぅやるわ。ところでミドリちゃんのRAIN、僕拒否られてんだけど。」
総一郎「当たり前だ。ブロックしてきたからな。」
同僚「心せまっ、せまいよっ、小林君。」
総一郎「ついでにあの女のもブロックしてきた。いつの間にか入ってたからな。」
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塩飴
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自己紹介:
日々、仕事と家事に追われながら趣味を増やそうと画策するネコ好き。
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著作権は放棄しておりませんので、無断転載はしないでください。
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