黒幕は嗤う
「ひどい男よね。親友で遊んで楽しいの?」
ディスプレィの明かりと、モーター音しか聞こえない部屋で、ディスプレィに向かって座る長い黒髪をした女が言う。
「あれ?レイちゃん、もしかして妬いちゃった?」
ニヤニヤと女の黒髪をもて遊びながら、小林 総一郎の同僚兼学友兼親友である榊 透吾が笑う。
その手をうっとおしそうに振り払いながら「けなしてんのよ。あんたが裏で工作してんの親友が知ったら、どんな顔するのかしらね。」レイと呼ばれた女が言う。
「やだなぁ。レイちゃん人聞きの悪い。
僕はね?総一郎に舞台を作ってあげただけだよ。
今時、ドラマみたいなことって起きないじゃない。日本は安全だからさぁ。
せっかく総一郎が一目惚れしたんだよ?
相手のコもイイコだったし。そんな二人が一緒に危機を乗り越えて幸せになりました。っていいストーリーじゃん?総一郎もさぁ、そろそろ幸せになってもいいと思うんだよね。」と、女を背後から抱きしめた。
その拍子に、机の上の書類が床に散らばる。
【佐藤 翠 調査報告書】
【前田 明美 調査報告書】
小林 総一郎と榊 透吾はいわゆる金持ち学園と呼ばれる所に通っていた。
高遠製鋼の現社長の孫(姓は親父のを名乗っている為、高遠ではない)ということで権力も財力もあった総一郎は鼻っ柱が高く、わがままでやりたい放題していた。
容姿、学力、運動にも優れていた為、女にモテ、青春を謳歌していたのだが、そこに転入してきたのが小森 七海という少女。
天真爛漫、純粋を絵に描いたような美少女、瞬く間に学園のマドンナになった。
総一郎も榊も含んだ他の男も彼女に好意を抱き、振り向いてもらうよう貢いだりしていたのだが、彼女は男を侍らすだけ侍らして、最後は年上の男とくっついた。
散々、愛を囁き、貢ぎ、便宜を図ってきた彼らを鼻で嗤うようにして。
「ごめんね?だってもっとたくさん欲しいのがあるの。学生のあなた達じゃ買えないでしょ?」と、嘲笑った彼女の顔が忘れられない。
学生とはいえ世間一般では金持ちに分類される彼ら。
そんな彼らは彼女が欲しいと言った装飾品は一も二もなく買い、行きたいと言う場所には高い金を出して彼女を連れて行った。
およそ学生の身分で使わないような金額を使って。
親がそのことに気がついた時には、すでにカードの上限金額をとっくに通り越した請求書の束が出来ており、そのことに激怒してなにに使ったのか問いただすが、女に貢いだとは矜持が高くて口に出来ず、結局の所、内定調査によって露見することになった。
その後、学生の間、カードは必要最低限の使用金額しか認められず。就職もコネを使うことが禁止、就職後は自力で生活することが義務づけられた。
しかしながら元々自力があった総一郎と榊は、ともに上場企業に就職を果たし、営業職を頑張ってきていたのだ。
容姿も良ければ、能力も高い彼らはやはり女にモテたが、「○○が欲しいな。」との言葉に過去のトラウマを触発され長続きはしなかった。
総一郎はそのうち仕事にのめり込んでしまい、合間合間にカノジョがいた様だが、いつの間にか別れている様子だった。
そんな中での一目惚れである。
これはなんとかして、結婚までもっていってもらおうと奮起したのが事の次第。
「でもね、これはやりすぎだと思うわ。このコ、犯歴がついちゃったんでしょう?」
画面に映るのは前田明美のグチッター。
『今日、会社のイケメン営業に恋愛相談されちゃった(*≧Δ≦)』
『えっ!?もしかして・・気があるんじゃないの?』
『やっぱり?やっぱそうだよね!?キャーヽ(≧▽≦)/』
『いいなー。かっこいいの?どういう系?』
『ワイルド系。マジかっこいいよ。身長高いし。』
『やったじゃん!奪っちゃいなよ(ゝω・)相手もそれを期待してるでしょ(≧∇≦)b』
『えー・・でも、お金持ちかなぁ(・_・、)』
『隠してるけど高遠製鋼の孫だよ。時期社長。』
『すっごいじゃん!玉の輿だよ!!狙っちゃえ~(*ゝω・*)ノ』
『いい方法書いてあるらしいよ。略奪スレのURL貼っておくね(ゝω・)
www://×××××.×××.××』
「誘導したのは僕だけど、それを実行したのは彼女自身だよ。自業自得ってものだね。・・・でも、おもしろかったな。自分のことじゃないから、皆、煽る煽る。匿名だから言いたい放題だし。」
「匿名だからこそ人間性でるんでしょ。」
「ほんとだね・・・あまりにも反応が可愛くて、ウィルス踏むよう誘導しようか迷っちゃったよ。おもしろいことになったろうねぇ。それともバックドアの方がおもしろかったかなぁ。」クスクスと暗く笑う榊。
「その顔、親友が知ったら幻滅されるわよ。榊。」
「安心して?レイちゃんの前だけだよ。あぁ、そうだ。総一郎がレイちゃんに結婚式これるか予定聞いててくれって言ってた。3月21日なんだって。」
「・・・予定もなにも・・・あんたが出してくれるなら行けるわよ。」
「そうだねぇ。久しぶりに外の空気を吸うのもいいかもね。着飾って一緒に行こうね。」
「・・・・・・・えぇ、そうね。」
ディスプレィの明かりと、モーター音しか聞こえない部屋で、ディスプレィに向かって座る長い黒髪をした女が言う。
「あれ?レイちゃん、もしかして妬いちゃった?」
ニヤニヤと女の黒髪をもて遊びながら、小林 総一郎の同僚兼学友兼親友である榊 透吾が笑う。
その手をうっとおしそうに振り払いながら「けなしてんのよ。あんたが裏で工作してんの親友が知ったら、どんな顔するのかしらね。」レイと呼ばれた女が言う。
「やだなぁ。レイちゃん人聞きの悪い。
僕はね?総一郎に舞台を作ってあげただけだよ。
今時、ドラマみたいなことって起きないじゃない。日本は安全だからさぁ。
せっかく総一郎が一目惚れしたんだよ?
相手のコもイイコだったし。そんな二人が一緒に危機を乗り越えて幸せになりました。っていいストーリーじゃん?総一郎もさぁ、そろそろ幸せになってもいいと思うんだよね。」と、女を背後から抱きしめた。
その拍子に、机の上の書類が床に散らばる。
【佐藤 翠 調査報告書】
【前田 明美 調査報告書】
小林 総一郎と榊 透吾はいわゆる金持ち学園と呼ばれる所に通っていた。
高遠製鋼の現社長の孫(姓は親父のを名乗っている為、高遠ではない)ということで権力も財力もあった総一郎は鼻っ柱が高く、わがままでやりたい放題していた。
容姿、学力、運動にも優れていた為、女にモテ、青春を謳歌していたのだが、そこに転入してきたのが小森 七海という少女。
天真爛漫、純粋を絵に描いたような美少女、瞬く間に学園のマドンナになった。
総一郎も榊も含んだ他の男も彼女に好意を抱き、振り向いてもらうよう貢いだりしていたのだが、彼女は男を侍らすだけ侍らして、最後は年上の男とくっついた。
散々、愛を囁き、貢ぎ、便宜を図ってきた彼らを鼻で嗤うようにして。
「ごめんね?だってもっとたくさん欲しいのがあるの。学生のあなた達じゃ買えないでしょ?」と、嘲笑った彼女の顔が忘れられない。
学生とはいえ世間一般では金持ちに分類される彼ら。
そんな彼らは彼女が欲しいと言った装飾品は一も二もなく買い、行きたいと言う場所には高い金を出して彼女を連れて行った。
およそ学生の身分で使わないような金額を使って。
親がそのことに気がついた時には、すでにカードの上限金額をとっくに通り越した請求書の束が出来ており、そのことに激怒してなにに使ったのか問いただすが、女に貢いだとは矜持が高くて口に出来ず、結局の所、内定調査によって露見することになった。
その後、学生の間、カードは必要最低限の使用金額しか認められず。就職もコネを使うことが禁止、就職後は自力で生活することが義務づけられた。
しかしながら元々自力があった総一郎と榊は、ともに上場企業に就職を果たし、営業職を頑張ってきていたのだ。
容姿も良ければ、能力も高い彼らはやはり女にモテたが、「○○が欲しいな。」との言葉に過去のトラウマを触発され長続きはしなかった。
総一郎はそのうち仕事にのめり込んでしまい、合間合間にカノジョがいた様だが、いつの間にか別れている様子だった。
そんな中での一目惚れである。
これはなんとかして、結婚までもっていってもらおうと奮起したのが事の次第。
「でもね、これはやりすぎだと思うわ。このコ、犯歴がついちゃったんでしょう?」
画面に映るのは前田明美のグチッター。
『今日、会社のイケメン営業に恋愛相談されちゃった(*≧Δ≦)』
『えっ!?もしかして・・気があるんじゃないの?』
『やっぱり?やっぱそうだよね!?キャーヽ(≧▽≦)/』
『いいなー。かっこいいの?どういう系?』
『ワイルド系。マジかっこいいよ。身長高いし。』
『やったじゃん!奪っちゃいなよ(ゝω・)相手もそれを期待してるでしょ(≧∇≦)b』
『えー・・でも、お金持ちかなぁ(・_・、)』
『隠してるけど高遠製鋼の孫だよ。時期社長。』
『すっごいじゃん!玉の輿だよ!!狙っちゃえ~(*ゝω・*)ノ』
『いい方法書いてあるらしいよ。略奪スレのURL貼っておくね(ゝω・)
www://×××××.×××.××』
「誘導したのは僕だけど、それを実行したのは彼女自身だよ。自業自得ってものだね。・・・でも、おもしろかったな。自分のことじゃないから、皆、煽る煽る。匿名だから言いたい放題だし。」
「匿名だからこそ人間性でるんでしょ。」
「ほんとだね・・・あまりにも反応が可愛くて、ウィルス踏むよう誘導しようか迷っちゃったよ。おもしろいことになったろうねぇ。それともバックドアの方がおもしろかったかなぁ。」クスクスと暗く笑う榊。
「その顔、親友が知ったら幻滅されるわよ。榊。」
「安心して?レイちゃんの前だけだよ。あぁ、そうだ。総一郎がレイちゃんに結婚式これるか予定聞いててくれって言ってた。3月21日なんだって。」
「・・・予定もなにも・・・あんたが出してくれるなら行けるわよ。」
「そうだねぇ。久しぶりに外の空気を吸うのもいいかもね。着飾って一緒に行こうね。」
「・・・・・・・えぇ、そうね。」
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プロフィール
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塩飴
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非公開
自己紹介:
日々、仕事と家事に追われながら趣味を増やそうと画策するネコ好き。
小説とイラストを置いております。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載はしないでください。
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