とある悪役令嬢の後日談2
『今日一日、頑張る力を下さい。』
そういってノアは王宮に出かける前に、私を抱きしめるようになった。
婚約者となって初めて屋敷に帰ってきたノアは、憔悴しきっており、見るからにズタボロだった。
私が「お帰りなさい」とも、「お疲れ様」とも言う前に、私を見つけたノアはすごい早さで近寄ってきて、ガバリと抱きついてきた。
「シエラ様。シエラ様。シエラ様。生シエラ様。夢じゃない生のシエラ様・・・」
羞恥と驚きでパニックになり、あわあわと声も出せずに固まったままでいると、後ろからやって来ていた父に、スパーンと頭を叩かれて吹っ飛んで行った。
・・・・茫然とする私を、父は抱きしめながら、ノアに向かって「まだお前にくれてやってはいない」と声をかけていた。
・・・・どうしましょう。ノアが哀れな犬にしか見えない・・・・。
アメリア・シーリスは処刑された。
・・・と、表向きには発表された。
名をアリサと変えたアメリアは、現在、私の住む屋敷でメイドとして暮らしている。
先見という預言者的存在であったと、事件への容疑をかけられたが、悪事を働く彼らがまだ幼い少女の戯言を信じて行動していたとは、にわかには信じられず、また証拠もなかった。
かといって公爵令嬢を罠に嵌め、処刑台へと送った罪は重く、重罪は免れないところだったのだが、被害者である私が身元を引き受けると申し出た為に、このような処置となった。
アメリアは元気に暮らしている。
ノアが私を抱きしめているのを、キラキラとした目で見つめるので・・ものすごく・・・いたたまれなくなるのだが・・・。
「キャー!もぅ、もぅ、素敵ですっ。鼻血ものです!ありがとうございます!シエラ様!」
握りこぶしを固めて、頬を染め興奮する彼女に、なんといっていいのか本当に分からない。
皇太子と公爵家嫡男たちは廃嫡は免れたが、その代償として父や宰相に馬車馬のようにこき使われている。宵闇には魂が抜けたようにグッタリしている彼らを見かけるのが、王宮の通常になったそうだ。
同じようにこき使われてはいるが、耐性のあるノアが見るに見かねて手を貸すと・・・見事に懐かれたらしい・・・ノア兄と呼ばれて、結構な頻度で泣きつかれているようだ。
皇太子は、アメリアのことが諦められないようで、時折、高価な装飾品やドレスを片手に屋敷を訪れるようになった。
が、あまりにも高価な贈り物にアメリアが恐縮して返すと、うなだれて帰っていく。
・・・・・後姿が飼い主に叱られたアフガンハウンドに見えはじめた・・・どうしましょう・・犬が増えた気がするわ。
うなだれたアフガンハウンド、もとい、皇太子はノアに助言を求めたそうで、ノアがなにやらリストを書いていた。
チラリと横から見ると、ぬいぐるみ、菓子、絵本、リボン、飴、・・・等々と、どう見ても16歳の少女に贈るものというというより、幼い子に贈るもののように思えたのだが、まさか、そのまま贈らないだろうと思いなにも言わなかった。
が、あろうことか、皇太子はリストの通り贈りはじめた。
・・・アメリアが嬉しそうに報告にくるので、「良かったわね」としか言えなかったのだが、
あのリストは幼い頃からノアが私に贈った贈り物のリストである。
・・・・なんとも、いたたまれない・・・・。
皇太子は笑顔で受け取るアメリアに気を良くしたのか、リストの贈り物を片手に訪問する回数が増えた。
それを見た父が「まだ余裕があるようだな。」と薄く笑っていたので、皇太子には心の中で手を合わせておく。
本日の空も青い。
私、この世界で生きていきます。
そういってノアは王宮に出かける前に、私を抱きしめるようになった。
婚約者となって初めて屋敷に帰ってきたノアは、憔悴しきっており、見るからにズタボロだった。
私が「お帰りなさい」とも、「お疲れ様」とも言う前に、私を見つけたノアはすごい早さで近寄ってきて、ガバリと抱きついてきた。
「シエラ様。シエラ様。シエラ様。生シエラ様。夢じゃない生のシエラ様・・・」
羞恥と驚きでパニックになり、あわあわと声も出せずに固まったままでいると、後ろからやって来ていた父に、スパーンと頭を叩かれて吹っ飛んで行った。
・・・・茫然とする私を、父は抱きしめながら、ノアに向かって「まだお前にくれてやってはいない」と声をかけていた。
・・・・どうしましょう。ノアが哀れな犬にしか見えない・・・・。
アメリア・シーリスは処刑された。
・・・と、表向きには発表された。
名をアリサと変えたアメリアは、現在、私の住む屋敷でメイドとして暮らしている。
先見という預言者的存在であったと、事件への容疑をかけられたが、悪事を働く彼らがまだ幼い少女の戯言を信じて行動していたとは、にわかには信じられず、また証拠もなかった。
かといって公爵令嬢を罠に嵌め、処刑台へと送った罪は重く、重罪は免れないところだったのだが、被害者である私が身元を引き受けると申し出た為に、このような処置となった。
アメリアは元気に暮らしている。
ノアが私を抱きしめているのを、キラキラとした目で見つめるので・・ものすごく・・・いたたまれなくなるのだが・・・。
「キャー!もぅ、もぅ、素敵ですっ。鼻血ものです!ありがとうございます!シエラ様!」
握りこぶしを固めて、頬を染め興奮する彼女に、なんといっていいのか本当に分からない。
皇太子と公爵家嫡男たちは廃嫡は免れたが、その代償として父や宰相に馬車馬のようにこき使われている。宵闇には魂が抜けたようにグッタリしている彼らを見かけるのが、王宮の通常になったそうだ。
同じようにこき使われてはいるが、耐性のあるノアが見るに見かねて手を貸すと・・・見事に懐かれたらしい・・・ノア兄と呼ばれて、結構な頻度で泣きつかれているようだ。
皇太子は、アメリアのことが諦められないようで、時折、高価な装飾品やドレスを片手に屋敷を訪れるようになった。
が、あまりにも高価な贈り物にアメリアが恐縮して返すと、うなだれて帰っていく。
・・・・・後姿が飼い主に叱られたアフガンハウンドに見えはじめた・・・どうしましょう・・犬が増えた気がするわ。
うなだれたアフガンハウンド、もとい、皇太子はノアに助言を求めたそうで、ノアがなにやらリストを書いていた。
チラリと横から見ると、ぬいぐるみ、菓子、絵本、リボン、飴、・・・等々と、どう見ても16歳の少女に贈るものというというより、幼い子に贈るもののように思えたのだが、まさか、そのまま贈らないだろうと思いなにも言わなかった。
が、あろうことか、皇太子はリストの通り贈りはじめた。
・・・アメリアが嬉しそうに報告にくるので、「良かったわね」としか言えなかったのだが、
あのリストは幼い頃からノアが私に贈った贈り物のリストである。
・・・・なんとも、いたたまれない・・・・。
皇太子は笑顔で受け取るアメリアに気を良くしたのか、リストの贈り物を片手に訪問する回数が増えた。
それを見た父が「まだ余裕があるようだな。」と薄く笑っていたので、皇太子には心の中で手を合わせておく。
本日の空も青い。
私、この世界で生きていきます。
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プロフィール
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塩飴
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非公開
自己紹介:
日々、仕事と家事に追われながら趣味を増やそうと画策するネコ好き。
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著作権は放棄しておりませんので、無断転載はしないでください。
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