妖精の騎士1
皇太子には隣国との姫との婚約が噂されるようになった。
隣国ザシャハール国は鉄工業が盛んで、武力に秀でている国である。
我が国の武力も弱くはないのだが、互いに交戦するとなると双方ともに多大な損失が予想される。それ故に姫との婚姻は非常に有効な手段と考えらえている。
その噂の隣国の第一王子と姫が来訪したということで、王宮で夜会が催されることとなった。
私ことシエラ・ラドシールも公爵家令嬢ということで、婚約者のノアと共に参加する事となった。
・・・宴は苦手である。
沢山の人に囲まれ話すことも・・・過去のトラウマにより王宮で食べ物を口にすることが出来ないということも苦手だと感じる一因であろう。
「シエラ殿、お久しぶりです。」
そう声をかけられて振りかえると、主賓であるザシャハール国第一王子ガリブ・ザシャハール殿下と妹姫のファリハ・ザシャハール殿下が薄桃色の酒精の入った杯を片手に近づいてきた。
「お久しぶりです。ガリブ殿下。
はじめまして、ファリハ殿下。
ラドシール公爵家長女 シエラと申します。
紹介いたしますわね、こちら、私の婚約者のノア・カーライル様です。
どうぞ私共々、どうぞよしなにお願い申し上げます。」
ニコリと微笑みつつ、腕を絡めていたノアを紹介する。
ノアもいつもの人好きのする笑顔を浮かべつつ、挨拶を交わす。
・・・ガリブ・ザシャハール殿下も苦手である。
褐色の肌に蒼天の青の瞳、白髪というザシャハール王家の特徴を見事に引き継いだ体格のいい王子は宴の度に、執拗に飲み物や食べ物を勧めてくるのだ。
やんわりと、失礼のないように断るのだが、それでもこれは美味しい、これは味がどうのと、まるで餌付けでもするかのように口に運ぼうとするので、いつも父の背に救けを求めたものである。
それにものすごく他人との距離が近い。
息のかかる距離と言えばわかるであろうか、美男子で地位もある彼が女性にそのような態度でいると、好意を持たれていると勘違いされるのではないかと心配になるのだが、そこは上手く躱しているのだろうか。もしくは、これ幸いと美味しく頂いているのかどうかは分からない。
社交辞令を交わしているガリブ殿下とノアを眺めていると、ガリブ殿下の傍らにいたファリハ殿下と目が合った。
はじめてお会いしたファリハ殿下は兄王子と同じ色彩、出るとこは出て、引っ込む所はひっこむという、女性として非常に羨ましい美女であった。
同い年だとは思えない、どうしたらこんなにも妖艶に育つのかしら?と、不躾にならないように気をつかいつつ、ついついその麗しい姿に魅入ってしまう。
つい、とファリハ殿下が手にした扇子で口元を隠すように囁きを寄越す。
-内密でご相談したいことがあります。少しお時間を頂けないでしょうか。どうか御一人で奥の個室に来てもらえませんか?-
内々では婚約が決まっているという皇太子の相談であろうか。
元婚約者である私に、なにか聞きたいことがあるのだろうと思いつつ、頷きを返す。
宴も後半になり、緩慢な空気が漂い出した頃、ファリハ殿下が目配せをしてきた。
隣にいたノアにお花を摘みに行ってきますと声をかけ、そっと会場を離れる。
部屋にたどりつくと、ファリハ殿下はまだ来てはおらず、燭台の灯りのみが揺れるばかりであった。
長椅子に身を沈めつつ、しばしの休憩をとる。
宴は苦手である。
終始刺さるような視線を感じるし、むせかえるような香水の香りも苦手だ。
幼い頃から父が極力参加しないよう、参加しても早々に帰れるよう手配しくれていたものだ。
本来ならば、人脈を広げるべく努力するべきなのだろうが、それすら出来ない自分の不甲斐なさに泣けてくる。
しばしの間、物思いに沈んでいるとカチリと音を立てて扉が開く。
ファリハ殿下、と思い腰を上げると入ってきたのはガリブ殿下ただ一人であった。
とたん脳裏で警鐘が鳴る。
まずいまずいまずい。
・・・警鐘が鳴りやまない。イヤな予感がして仕方がない。
「ファリハ殿下は・・いかがしたのでしょうか・・?」
内心の動揺が出ないよう・・願いながら問う。
「ファリハは来ないよ。美しい妖精姫に用があるのは僕の方だ。・・・用心深い妖精は絶対に一人にならないからね。ファリハに頼んだんだ。」
ニコリと無邪気に言うが、徐々に距離を詰めてくるガリブ殿下に恐怖しか感じない。
「ねぇ、シエラ殿、僕は待ったのだよ?
君とディートハルト殿の婚約がようやく解消されて・・・ようやく美しい妖精姫を攫っていけると思ったのに、隣に男を連れてくるなんて、なんて意地悪な妖精なんだろうね。」
なんとか手を逃れて、扉へ近づこうとするが、ガシリと大きな手に捕まれてヒィ、と悲鳴が出た。
「は、離して頂けますでしょうか。私には婚約者がおりますので・・・」
掴まれた腕を振りほどこうとするが、どんなに抗おうと手を放してくれない。
「シエラ殿、僕の国に行こうよ。たくさん贅沢させてあげるし、たくさん愛してあげるよ。
君の婚約者は元護衛なのだろう?そんな身分の者に君を嫁がすなんて、君の父君はなにを考えているのだろうね。
君のように美しい者は、僕のような高い身分の者に愛されるべきだと、そう思わないかい?」
なにを言っているのか分からない。
狂気を孕んだような瞳に恐怖心しか湧かない。
「ノアは・・・ノアは私の大事な者です。身分が低いとか関係ありません。
私はノアと共に生きていきたいのです。」
キッと睨みつけながら、ノアへの侮辱に抗議する。
「へぇ・・・そういう表情もできるんだ。
君はなにも食べようともしないし、本当に妖精なんじゃないかとずっと思っていたんだ。
ねぇ・・・もっと他の表情も見せてよ。」
そう言いながら引き寄せようとするのを必死に抵抗するが、力の差が大きすぎて、引きずられるようにして抱きすくめられる。
「たす、たすけてっノアっ!! ノアっ、ノアっ」
じたばたと手を突っぱねて、暴れてもさほどのダメージを受けてないのか、ニヤニヤしながらガリブ殿下はシエラを捕えて離さない。
気持ち悪いっ。
心の底からそう思った。
ガンッ!!
大きな音と共に扉が開かれる。
ノアが数人の近衛と思わしき男達を振り払いながら、部屋の中へと入ってきた。
「ノアっ」
ノアの姿に安堵のあまり涙が零れそうになる。
ガリブ殿下の手を逃れてノアの元へ行こうとするが、がしっと掴まれたまま身動きが取れない上に、口を大きな手でふせがれる。
「ねぇ、君、野暮ってもんじゃないかな?僕と彼女はこれからいいところなんだけど、出て行ってくれない?」
婚約者であるノアが現れても、未だシエラを離そうともせずガリブ殿下はノアに言う。
「返して頂けますか? 俺の大事な人を」
半眼になったノアは、いつもの人の良さそうな好青年というイメージが払拭されるほど怒気に満ちている。
「君にはもっといい娘を数人紹介してあげるよ。うちにはね、可愛い娘がたくさんいるんだよ。どんなのが好みなのかな? あぁ、それとも貴族にでもなりたいのかな?さすがに公爵までは無理だけど、それなりの地位はあげれると思うよ?」
ノアの声が全く聞こえないようにガリブ殿下は言う。
「返してください。」
ノアが腰の剣へと手を伸ばす。
ノアの背後にいた近衛達の気配が緊張を帯びる。
「・・・ねぇ、君。僕に剣を向けるって意味が分かってんの?
それにね、彼女にとってもいい話だと思うんだけど?
王家に嫁げるんだよ?
まさに国の頂点にいけるじゃないか。
君が彼女の幸せを願うなら身を引くべきじゃないのかな?」
クスリと笑みを浮かべつつ、ガリブ殿下が言う。
「・・シエラ様を離して頂けますか? 彼女は俺のものです。・・・戦争になったとしたら・・・俺が真っ先に貴方の首を取りに行きますよ。」
ぶわりと殺気を膨らませたノアがカチッと剣を抜き放そうとした時、ガリブ殿下がくくっ・・くくくっと笑いはじめた。
身をよじるように大笑いをはじめたガリブ殿下は、ぐぃ、と震えるシエラをノアへと押しやる。
「あは、あははっ。すごいね!
まさしく妖精の騎士様!国に喧嘩売ってでも妖精姫守るとかさすがとしか言えないよ。
しかもうちの力自慢の近衛達の制止も振り払ってくるなんて、どんだけ怪力なのさ。
妖精姫に妖精の騎士、なぁ、二人一緒でうちに来ないか? 大事にするよ?」
どうよ!?と大きく腕を広げてガルブ殿下は言う。
突然、笑いだしたガリブ殿下についていけず、茫然としているノアとシエラ。
・・妖精姫?
・・・妖精の騎士?
全くもって意味が分からない。
「もぅっ!お戯れはおやめなさいな、お兄様!
話合いをするのではなかったのですの!?
ごらんなさいな、シエラ様もノア様も困惑されてますわ!?」
駆けつけたファリハ殿下がガリブ殿下をたしなめる。
「いやだってファリハ。せっかく妖精姫に会えたんだから、ちょっと再現もしたくなるじゃないか。
隣に妖精の騎士も連れてるんだし。」
悪びれもせずにガリブ殿下は言う。
「それでも女性を泣かすなんて最低です! お兄様。」
めっと、ファリハ殿下がたしなめるが全くもって堪えた様子がないガリブ殿下。
盛大な兄妹喧嘩をはじめた二人を思考が回らない頭のまま見ていると、視界が歪んできて足に力がはいらなくなった。
「・・・・・シ・・・・・・ま・・・・・・・」
遠くでノアの声が聞こえた・・気がしたが・・・・意識が闇におちた。
隣国ザシャハール国は鉄工業が盛んで、武力に秀でている国である。
我が国の武力も弱くはないのだが、互いに交戦するとなると双方ともに多大な損失が予想される。それ故に姫との婚姻は非常に有効な手段と考えらえている。
その噂の隣国の第一王子と姫が来訪したということで、王宮で夜会が催されることとなった。
私ことシエラ・ラドシールも公爵家令嬢ということで、婚約者のノアと共に参加する事となった。
・・・宴は苦手である。
沢山の人に囲まれ話すことも・・・過去のトラウマにより王宮で食べ物を口にすることが出来ないということも苦手だと感じる一因であろう。
「シエラ殿、お久しぶりです。」
そう声をかけられて振りかえると、主賓であるザシャハール国第一王子ガリブ・ザシャハール殿下と妹姫のファリハ・ザシャハール殿下が薄桃色の酒精の入った杯を片手に近づいてきた。
「お久しぶりです。ガリブ殿下。
はじめまして、ファリハ殿下。
ラドシール公爵家長女 シエラと申します。
紹介いたしますわね、こちら、私の婚約者のノア・カーライル様です。
どうぞ私共々、どうぞよしなにお願い申し上げます。」
ニコリと微笑みつつ、腕を絡めていたノアを紹介する。
ノアもいつもの人好きのする笑顔を浮かべつつ、挨拶を交わす。
・・・ガリブ・ザシャハール殿下も苦手である。
褐色の肌に蒼天の青の瞳、白髪というザシャハール王家の特徴を見事に引き継いだ体格のいい王子は宴の度に、執拗に飲み物や食べ物を勧めてくるのだ。
やんわりと、失礼のないように断るのだが、それでもこれは美味しい、これは味がどうのと、まるで餌付けでもするかのように口に運ぼうとするので、いつも父の背に救けを求めたものである。
それにものすごく他人との距離が近い。
息のかかる距離と言えばわかるであろうか、美男子で地位もある彼が女性にそのような態度でいると、好意を持たれていると勘違いされるのではないかと心配になるのだが、そこは上手く躱しているのだろうか。もしくは、これ幸いと美味しく頂いているのかどうかは分からない。
社交辞令を交わしているガリブ殿下とノアを眺めていると、ガリブ殿下の傍らにいたファリハ殿下と目が合った。
はじめてお会いしたファリハ殿下は兄王子と同じ色彩、出るとこは出て、引っ込む所はひっこむという、女性として非常に羨ましい美女であった。
同い年だとは思えない、どうしたらこんなにも妖艶に育つのかしら?と、不躾にならないように気をつかいつつ、ついついその麗しい姿に魅入ってしまう。
つい、とファリハ殿下が手にした扇子で口元を隠すように囁きを寄越す。
-内密でご相談したいことがあります。少しお時間を頂けないでしょうか。どうか御一人で奥の個室に来てもらえませんか?-
内々では婚約が決まっているという皇太子の相談であろうか。
元婚約者である私に、なにか聞きたいことがあるのだろうと思いつつ、頷きを返す。
宴も後半になり、緩慢な空気が漂い出した頃、ファリハ殿下が目配せをしてきた。
隣にいたノアにお花を摘みに行ってきますと声をかけ、そっと会場を離れる。
部屋にたどりつくと、ファリハ殿下はまだ来てはおらず、燭台の灯りのみが揺れるばかりであった。
長椅子に身を沈めつつ、しばしの休憩をとる。
宴は苦手である。
終始刺さるような視線を感じるし、むせかえるような香水の香りも苦手だ。
幼い頃から父が極力参加しないよう、参加しても早々に帰れるよう手配しくれていたものだ。
本来ならば、人脈を広げるべく努力するべきなのだろうが、それすら出来ない自分の不甲斐なさに泣けてくる。
しばしの間、物思いに沈んでいるとカチリと音を立てて扉が開く。
ファリハ殿下、と思い腰を上げると入ってきたのはガリブ殿下ただ一人であった。
とたん脳裏で警鐘が鳴る。
まずいまずいまずい。
・・・警鐘が鳴りやまない。イヤな予感がして仕方がない。
「ファリハ殿下は・・いかがしたのでしょうか・・?」
内心の動揺が出ないよう・・願いながら問う。
「ファリハは来ないよ。美しい妖精姫に用があるのは僕の方だ。・・・用心深い妖精は絶対に一人にならないからね。ファリハに頼んだんだ。」
ニコリと無邪気に言うが、徐々に距離を詰めてくるガリブ殿下に恐怖しか感じない。
「ねぇ、シエラ殿、僕は待ったのだよ?
君とディートハルト殿の婚約がようやく解消されて・・・ようやく美しい妖精姫を攫っていけると思ったのに、隣に男を連れてくるなんて、なんて意地悪な妖精なんだろうね。」
なんとか手を逃れて、扉へ近づこうとするが、ガシリと大きな手に捕まれてヒィ、と悲鳴が出た。
「は、離して頂けますでしょうか。私には婚約者がおりますので・・・」
掴まれた腕を振りほどこうとするが、どんなに抗おうと手を放してくれない。
「シエラ殿、僕の国に行こうよ。たくさん贅沢させてあげるし、たくさん愛してあげるよ。
君の婚約者は元護衛なのだろう?そんな身分の者に君を嫁がすなんて、君の父君はなにを考えているのだろうね。
君のように美しい者は、僕のような高い身分の者に愛されるべきだと、そう思わないかい?」
なにを言っているのか分からない。
狂気を孕んだような瞳に恐怖心しか湧かない。
「ノアは・・・ノアは私の大事な者です。身分が低いとか関係ありません。
私はノアと共に生きていきたいのです。」
キッと睨みつけながら、ノアへの侮辱に抗議する。
「へぇ・・・そういう表情もできるんだ。
君はなにも食べようともしないし、本当に妖精なんじゃないかとずっと思っていたんだ。
ねぇ・・・もっと他の表情も見せてよ。」
そう言いながら引き寄せようとするのを必死に抵抗するが、力の差が大きすぎて、引きずられるようにして抱きすくめられる。
「たす、たすけてっノアっ!! ノアっ、ノアっ」
じたばたと手を突っぱねて、暴れてもさほどのダメージを受けてないのか、ニヤニヤしながらガリブ殿下はシエラを捕えて離さない。
気持ち悪いっ。
心の底からそう思った。
ガンッ!!
大きな音と共に扉が開かれる。
ノアが数人の近衛と思わしき男達を振り払いながら、部屋の中へと入ってきた。
「ノアっ」
ノアの姿に安堵のあまり涙が零れそうになる。
ガリブ殿下の手を逃れてノアの元へ行こうとするが、がしっと掴まれたまま身動きが取れない上に、口を大きな手でふせがれる。
「ねぇ、君、野暮ってもんじゃないかな?僕と彼女はこれからいいところなんだけど、出て行ってくれない?」
婚約者であるノアが現れても、未だシエラを離そうともせずガリブ殿下はノアに言う。
「返して頂けますか? 俺の大事な人を」
半眼になったノアは、いつもの人の良さそうな好青年というイメージが払拭されるほど怒気に満ちている。
「君にはもっといい娘を数人紹介してあげるよ。うちにはね、可愛い娘がたくさんいるんだよ。どんなのが好みなのかな? あぁ、それとも貴族にでもなりたいのかな?さすがに公爵までは無理だけど、それなりの地位はあげれると思うよ?」
ノアの声が全く聞こえないようにガリブ殿下は言う。
「返してください。」
ノアが腰の剣へと手を伸ばす。
ノアの背後にいた近衛達の気配が緊張を帯びる。
「・・・ねぇ、君。僕に剣を向けるって意味が分かってんの?
それにね、彼女にとってもいい話だと思うんだけど?
王家に嫁げるんだよ?
まさに国の頂点にいけるじゃないか。
君が彼女の幸せを願うなら身を引くべきじゃないのかな?」
クスリと笑みを浮かべつつ、ガリブ殿下が言う。
「・・シエラ様を離して頂けますか? 彼女は俺のものです。・・・戦争になったとしたら・・・俺が真っ先に貴方の首を取りに行きますよ。」
ぶわりと殺気を膨らませたノアがカチッと剣を抜き放そうとした時、ガリブ殿下がくくっ・・くくくっと笑いはじめた。
身をよじるように大笑いをはじめたガリブ殿下は、ぐぃ、と震えるシエラをノアへと押しやる。
「あは、あははっ。すごいね!
まさしく妖精の騎士様!国に喧嘩売ってでも妖精姫守るとかさすがとしか言えないよ。
しかもうちの力自慢の近衛達の制止も振り払ってくるなんて、どんだけ怪力なのさ。
妖精姫に妖精の騎士、なぁ、二人一緒でうちに来ないか? 大事にするよ?」
どうよ!?と大きく腕を広げてガルブ殿下は言う。
突然、笑いだしたガリブ殿下についていけず、茫然としているノアとシエラ。
・・妖精姫?
・・・妖精の騎士?
全くもって意味が分からない。
「もぅっ!お戯れはおやめなさいな、お兄様!
話合いをするのではなかったのですの!?
ごらんなさいな、シエラ様もノア様も困惑されてますわ!?」
駆けつけたファリハ殿下がガリブ殿下をたしなめる。
「いやだってファリハ。せっかく妖精姫に会えたんだから、ちょっと再現もしたくなるじゃないか。
隣に妖精の騎士も連れてるんだし。」
悪びれもせずにガリブ殿下は言う。
「それでも女性を泣かすなんて最低です! お兄様。」
めっと、ファリハ殿下がたしなめるが全くもって堪えた様子がないガリブ殿下。
盛大な兄妹喧嘩をはじめた二人を思考が回らない頭のまま見ていると、視界が歪んできて足に力がはいらなくなった。
「・・・・・シ・・・・・・ま・・・・・・・」
遠くでノアの声が聞こえた・・気がしたが・・・・意識が闇におちた。
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日々、仕事と家事に追われながら趣味を増やそうと画策するネコ好き。
小説とイラストを置いております。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載はしないでください。
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