塩飴の倉庫 令嬢と護衛の話10 忍者ブログ
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とある護衛の独白2



必死に走る先に、ざわざわとした広場があった。
たくさんの人をかき分け、目当ての人を探し出す。



「お館様!コレ!お願いしますっ」

書類やら色々と抱えていたものを、隣に控えていた隊員に押し付けるように渡す。

「よくやった!ノア!」
周囲の隊員たちに、汗だくの髪をくしゃくしゃにかきまわされ、肩をバシバシと叩かれながら、処刑台の上のシエラ様を見やる。

・・・・泣いてる・・・。

頭が真っ白になるかと思った。


「行くぞ!ノア。お前はシエラを守れ!」

いつの間にか隣に来ていたお館様に肩を掴まれ、ハッと気合いを入れなおす。

絶対に守る。
傷一つだって、つけさせるものか。




『捕縛しろ!』

ラドシール公爵の声が広場に響き渡ると同時に、広場を囲むようにして兵士が現れる。
とたん、ハチの巣をつついたように広場は騒然となる。
集まっていた貴族の中には、剣を振りかざし反撃する者も多くいた為、更に混乱は増した。
怒声や悲鳴で耳がおかしくなりそうになりながら、人をかき分けシエラ様の元へと急ぐ。


「シエラ様っ!!」

ようやく処刑台へと近づき、大声を張り上げると、シエラ様が大きく目を見開いて、こちらを見た。

「ノアっ!ノアっっ!!」

ボロボロと泣きだしたシエラ様。

台の上に、剣を持った貴族が登ろうとしているのが見える。
処刑台の上には、斧を持った処刑人とシエラ様、そして数人の兵しかいない。
なにが起こったのかわからず混乱する兵に、貴族の振るう刃が光る。
血しぶきに、シエラ様が悲鳴をあげる。

「シエラ様!!絶対、抱きとめます!!飛んでっ!」


シエラ様は俺の顔をしっかり見た後、コクリとうなずいて、台を、蹴った。


ドサリ

シエラ様を抱きとめる。


震えるシエラ様を抱きしめて周囲を見ると、顔なじみの隊員たちがいた。

「ノア!しっかりシエラ様捕まえとけっ!このまま突破するぞ!」




シエラ様を中心に円陣を組みながら、広場を脱出した時には、広場は血に染まり、すすり泣く声や、痛みにうめく声しか聞こえなくなった。
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