とある隊員の独白
『シエラの処刑日が決定された』
眉間に皺を寄せたラドシール公爵は静かにこう告げたが、あふれ出る怒気の凄まじさに、近くにいる隊員たちは冷や汗を流す。
シエラ嬢の処刑は皇太子達からの提案ではなく、周囲を取り巻く貴族達の声に踊らされたものだと言う。
かといって、仮にも婚約者に対する処罰にしては厳しすぎるのではないか?との疑問に、ラドシール公爵は「婚約者という名目だけは貸してやったが、元からアレにシエラをやるつもりはない。ただ、ここまで馬鹿だとは思ってもいなかったがな。」と辛辣な言葉を吐いた。
シエラ嬢を処刑し、ラドシール公爵の力を削ぐことが大方の狙いだろうが、根も葉もない証拠で人ひとりを処刑できると思う貴族のあほさ加減には正直、ため息しか出ない。
勝てば官軍と言えるだろうが、目の前の公爵を見て、この人に勝てる人などいるのだろうかと疑問になる。
「親ネズミの持っていた顧客リストを見たが、今回、頑張っているハイエナ共の名前が連なってるな。処刑にはきっと喜び勇んで見学に来るだろう。それを全部捕まえるぞ。」
広場周辺の地図を広げ、隊の配置を決めながらラドシール公爵は楽しげに言う。
そういえばシエラ嬢の無罪を証明するものは?と尋ねると、
「ノアに任せてある。ノアがシエラに関する事で失敗するはずがない。」
ノアは良き友人だが、正直、こんな怖い人に見込れるなんて可哀そうだと思った。
が、ノアはシエラ嬢にベタ惚れだったな、と思い直し心の中でエールを送る。
頑張れ、ノア。もしダメだったら骨くらいは拾ってやるからな。
こうやってシエラ嬢処刑日までの間、隊員たちは着々と準備を進めたのである。
眉間に皺を寄せたラドシール公爵は静かにこう告げたが、あふれ出る怒気の凄まじさに、近くにいる隊員たちは冷や汗を流す。
シエラ嬢の処刑は皇太子達からの提案ではなく、周囲を取り巻く貴族達の声に踊らされたものだと言う。
かといって、仮にも婚約者に対する処罰にしては厳しすぎるのではないか?との疑問に、ラドシール公爵は「婚約者という名目だけは貸してやったが、元からアレにシエラをやるつもりはない。ただ、ここまで馬鹿だとは思ってもいなかったがな。」と辛辣な言葉を吐いた。
シエラ嬢を処刑し、ラドシール公爵の力を削ぐことが大方の狙いだろうが、根も葉もない証拠で人ひとりを処刑できると思う貴族のあほさ加減には正直、ため息しか出ない。
勝てば官軍と言えるだろうが、目の前の公爵を見て、この人に勝てる人などいるのだろうかと疑問になる。
「親ネズミの持っていた顧客リストを見たが、今回、頑張っているハイエナ共の名前が連なってるな。処刑にはきっと喜び勇んで見学に来るだろう。それを全部捕まえるぞ。」
広場周辺の地図を広げ、隊の配置を決めながらラドシール公爵は楽しげに言う。
そういえばシエラ嬢の無罪を証明するものは?と尋ねると、
「ノアに任せてある。ノアがシエラに関する事で失敗するはずがない。」
ノアは良き友人だが、正直、こんな怖い人に見込れるなんて可哀そうだと思った。
が、ノアはシエラ嬢にベタ惚れだったな、と思い直し心の中でエールを送る。
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日々、仕事と家事に追われながら趣味を増やそうと画策するネコ好き。
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