とある宰相の独白
その騒ぎは唐突に起こった。
皇太子付きの近衛が持ち込んだ毒、それはかつて王妃殺害に使われた毒であった。
未だに出所が分からず、なおかつ希少性の高い毒。
近衛の説明によると、なんということだろう・・公爵家の娘、シエラ・ラドシール嬢が落としたものだというのだ。
思い出すのも忌まわしいあの日、王妃とラドシール公爵の奥方アリアエル・ラドシールとその幼い娘、シエラ・ラドシール嬢、そして我が妻クレア・カーライルの4人でお茶会を開いていた。
そして悲劇は起こったのである。
突然苦しみだした王妃達に王宮は騒然とする。
口から泡を吹き、嘔吐し、もだえ苦しむ彼女達を救うべく、医者や、薬剤師が呼ばれ、徹夜で看病したが、どんなに手を尽くしても無駄であった。
容体が安静化しても意識が混濁して、ろくに会話も出来ないまま天へ召されてしまった。
シエラ・ラドシール嬢が助かったのは、単純に飲み物が違った、という理由からだ。
大人達が紅茶を嗜んでいる中、まだ幼いという理由で果実ジュースを飲んでいた為、彼女は助かった。
ガクガクと震えながら母にすがり、母親を呼ぶ幼子の姿は今でも忘れられない。
その、彼女が、同じ毒を盛った、というのである。
・・・・・・・・・ありえない。
同じ悲しみを得たラドシール公爵とは酒を酌み交わす仲だが、その話の中でも結構な頻度でシエラ嬢のことが話題にのぼる。
今日は花のスケッチをしていた。
乗馬は得意ではないらしく、どうにか大人しい馬で慣れようとしているが、馬になめられていて上手くいかない、とか。
料理を作ってくれたが、味はいいのだが、見た目がどうにもダメだ、とか。
穏やかで滅多に怒りはしないが、怒らすと口をきいてくれなくなるのだ、とか。
・・・・・薬、というものにも怯えて拒否反応を示すようになった・・とか。
そんな彼女がどうして毒など盛れようか。
騒動を聴きつけたハイエナ共によって騒々しいラドシール公爵の自室を去りつつ、黒幕が誰かを考える。
毒を盛られたという少女の名はアメリア・シーリス。
確かシーリス男爵の庶子ということだが、まずはそこから調べてみることにしよう。
ラドシール公爵に噛みついたバカ共は後から始末すればいい。
・・・・あの日、我が妻を殺した黒幕を今度こそ見つけ出してくれる。
皇太子付きの近衛が持ち込んだ毒、それはかつて王妃殺害に使われた毒であった。
未だに出所が分からず、なおかつ希少性の高い毒。
近衛の説明によると、なんということだろう・・公爵家の娘、シエラ・ラドシール嬢が落としたものだというのだ。
思い出すのも忌まわしいあの日、王妃とラドシール公爵の奥方アリアエル・ラドシールとその幼い娘、シエラ・ラドシール嬢、そして我が妻クレア・カーライルの4人でお茶会を開いていた。
そして悲劇は起こったのである。
突然苦しみだした王妃達に王宮は騒然とする。
口から泡を吹き、嘔吐し、もだえ苦しむ彼女達を救うべく、医者や、薬剤師が呼ばれ、徹夜で看病したが、どんなに手を尽くしても無駄であった。
容体が安静化しても意識が混濁して、ろくに会話も出来ないまま天へ召されてしまった。
シエラ・ラドシール嬢が助かったのは、単純に飲み物が違った、という理由からだ。
大人達が紅茶を嗜んでいる中、まだ幼いという理由で果実ジュースを飲んでいた為、彼女は助かった。
ガクガクと震えながら母にすがり、母親を呼ぶ幼子の姿は今でも忘れられない。
その、彼女が、同じ毒を盛った、というのである。
・・・・・・・・・ありえない。
同じ悲しみを得たラドシール公爵とは酒を酌み交わす仲だが、その話の中でも結構な頻度でシエラ嬢のことが話題にのぼる。
今日は花のスケッチをしていた。
乗馬は得意ではないらしく、どうにか大人しい馬で慣れようとしているが、馬になめられていて上手くいかない、とか。
料理を作ってくれたが、味はいいのだが、見た目がどうにもダメだ、とか。
穏やかで滅多に怒りはしないが、怒らすと口をきいてくれなくなるのだ、とか。
・・・・・薬、というものにも怯えて拒否反応を示すようになった・・とか。
そんな彼女がどうして毒など盛れようか。
騒動を聴きつけたハイエナ共によって騒々しいラドシール公爵の自室を去りつつ、黒幕が誰かを考える。
毒を盛られたという少女の名はアメリア・シーリス。
確かシーリス男爵の庶子ということだが、まずはそこから調べてみることにしよう。
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・・・・あの日、我が妻を殺した黒幕を今度こそ見つけ出してくれる。
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日々、仕事と家事に追われながら趣味を増やそうと画策するネコ好き。
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著作権は放棄しておりませんので、無断転載はしないでください。
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